洗浄時にわかってきたこと(現場からの報告)

実際に100回路程度洗浄してみて、次のようなことがわかってきました。

1,ポンプダウン及びガス回収した冷媒管の洗浄をしてみて

  1. 塩化メチレンで洗浄すると初期流液が5リットル程度の黒変した溶剤が回収されます。
  2. チッソパージで液溶剤が若干残ります。
    • 真空ポンプがオイル式の場合、油が希釈されます。
    • 大気に放出されます。
  3. 冷媒管をR-22で共洗いしたもの
    • やはり塩化メチレン溶剤に黒変したオイル分が確認されます。
    • R-22の、液相、ガス相の境界の分離が困難で、R-22で汚れが判定不可能です。どうしても大気に出てしまう(ガス抜)
    • その後のR-22処理再生に高度な技術と費用を要します。
    • 確実に分離工学的に実施するには、採算が合わない。

2,圧縮機が作動しなくて、ガス回収機によりガス回収したもの

上記のものと大差ない、汚れオイルの流出量が大きい程度。残オイル量、ゴミ、不純物等は特定できない

3,被洗浄冷媒管について

溶接個所
配管
  • 外部は酸化被膜で黒変しています。
  • 水で冷却しているところは銅色
  • 内部はピカピカ光っている。ポンプダウン、共洗、何もしていない場所でも同じ。
  • 塩化メチレン洗浄にはオイル皮膜はないが、ポンプダウン、共洗、何もしていない箇所には皮膜があった。(指による触覚判定)
ヘッダー5回路分岐物
  1. 完全に洗浄されていた。
  2. チッソパージ、ベイキング(加熱)、真空乾燥により、溶剤は完全に除去されていた。
3台ルームエアコン

マルチ回路はヘッダーにより1回路ずつ洗浄した。圧力損失はかなりあるが十分に洗浄できた。断続運転が必要であった。

オイルの分析結果
品名:冷凍機廃油
定量分析 分析方法 カールフィッシャー法による水分含有率測定
使用機器 平沼産業株式会社製AQ-2100
測定条件 電解液:ハイドラナール(R)アクアライトRS-A
対極液:ハイドラナール(R)アクアライトCN
測定方法 冷凍機廃油(試料)を電解槽内に直接注入し、カールフィッシャー法により試料の水分含有率を測定した
測定結果 冷凍機廃油の水分含有率測定結果・・・49ppm











試料前
処理方法
清浄なプラスチック製遠沈管に冷凍機廃油(試料)2.0mLおよびイオン交換水18.0mLを入れて容器を密閉し、振とう器により容器を1時間振とうした後、静置して油層と水層を分離した。シリンジにより水層を抜き出し、あらかじめイオン交換水で洗浄したODSカートリッジを通過させて水に不溶な成分を除去し、イオンクロマトグラフ分析の検液とした
使用機器 タイオネクス社製イオンクロマトグラフ
使用
カラム
SI-52 4E
カラム
温度
30℃
溶理液 4.5mmol/L Na2CO3  水溶液0.8mL/min
検出器 電気伝導度検出器
分析結果
フッ化物イオン 5.0mg/L 塩化物イオン 2.0×10mg/L
亜硝酸イオン 0.1mg/L未満 臭化物イオン 0.1mg未満
硝酸イオン 0.1mg/L未満 リン酸イオン 2.1mg/L
硫酸イオン 0.1mg/L未満 シュウ酸イオン 0.1mg/L未満
ギ酸イオン 1.8mg/L 酢酸イオン 0.1mg/L未満

以上

考察
(当社の考え)

冷媒管洗浄レス…そのまま使用するという説明にはどうしても無理がある

8〜10年で重要機器の損傷が大変大きい(入替)

1,塩化物イオン 2、フッ素物イオン 3,リン酸イオン 4,ギ酸 5,水分 はどこから出たか

1,2,は冷媒よりの分解物、3,は銅管および施工時のロウ材、4,はオイルの分解物、5,オイル及び冷媒、及び最初からの空気から。3はオイルの中にもある(界面活性剤として)

これらが出てもR-22の場合5年は運転する。PHは2であった

ガスもれの原因であった

洗浄レス工法の評価 これらの不純物はウイルスと同じであり時間と共に増殖をする物質である。加水分解、酸化分解、還元分解、摩耗減衰、熱分解、不確定反応、メーカーさんの加工物で厳密な品質管理の下で製造されたものが人の考えで突如ファジイ状物に変化する。
地上3階の屋上(13メートル)を地上から洗浄した
内機は地上2階にあるも、完全に洗浄できた。液抜きは、内機及びチッソガスパージで実施した。
4階建ての屋上より、内機の2階に向かっても実施した。
?の操作とほぼ同じで洗浄できた。
チッソガスパージは、三方弁により往管、返管を交互に実施し、内部の液を確実に追い出す。
(冬期の気温の低い時は、循環して管内を加熱する(これは複雑になるため本稿では省略する)
真空乾燥

チッソパージをしても管内には溶液が残る。残液を付属のダイヤフラム真空ポンプにより、真空引きを行う。出口管は冷水タンクのコイルに導き冷却し、液化除去する。

次にチッソガスを再びパージして、その配管出口でハロゲン検知計または検知器(フロンガスのトーチガス検査器)を用いて反応の無いことを確認する。

僅かに反応するときは、チッソガス抜きをして付属のオイル式真空ポンプで再び真空引きをして乾燥し、再度チッソガスを通しガス検査をし、ハロゲン反応のないことを確認し、洗浄を終了し、次の配管に移る。

洗浄機脱着
洗浄した冷媒管は、直ぐに機器設置工事をする場合はそのままでよいが、後日になる場合はテープ等で配管口を密封しておく。内外共に同じ。(詳しくは、機器付属の説明書を参照してください)種々の方法があります。

 

溶剤蒸留再生

  • 蒸留釜に回収溶剤を仕込み、ウォーターバスのヒーターを入れる。
  • コンデンサーには水を入れ、流水又は氷、チラー等により冷却水を冷やしておく。
  • 湯温が65度位に上がると管の分岐管より溶剤蒸気が出てくる。連接するガス管によりコンデンサーコイルに導かれ、液化再生回収缶に連続して流出してくる。入れた量を覚えておいて、回収量を測る。20kgずつ投入するパッチシステムで実施する。回収缶の下には、ハカリを置いておく。
    連続して蒸留する場合、管の液連続により別売液ポンプにより移送する。
  • 蒸留の終点は、レベルゲージを見ながら釜底の溶剤量と沸騰状況、釜底温度、分岐管温度等を確認して終了する。
  • 釜内には蒸気が残っているが、チッソガスを循環釜内に吹き込み蒸気を追い出す。
  • 湯槽ヒーターを切る
  • 釜が冷えたところでハッチを開き、釜内のオイル及び不純物残量を取り出し清掃する

洗浄操作編

洗浄機及び配管が接続されたら
a.チッソガスにより徐々に加圧して、気密検査をする。0.3、0.4、0.5Mpa
ガスを放出し、弁を確認して、洗浄液をタンクに仕込む。
洗浄液が自然の高さで往管のホースまで流れてきていることを確認する。
溶液タンクへは、チッソガスを僅か大気圧程度流しておく。
(タンクの真空破壊を防ぐため)
数秒間ポンプを運転する。5〜6回繰り返す。やがて連続して運転する。同時に一人が室内のループ管の一番遠いところで空気抜きを実施する(バケツ等で)。液が出てきたところで、運転を連続する。配管の容量にもよるが、タンクの液が無くなりポンプ圧力が下がり送液が無くなる。往管のバルブを閉じ、ポンプを止め、タンク液を補充する。その量は予め配管の径と長さにより容量を知っておき、その分のみ追加する。
回収
回収タンクの液抜きもバルブを開けておき、回収缶をセットしておく。回収量は入れた量を確認しておく、その分だけ抜けてくる。
チッソガスによる追い出し
配管内に残った液をチッソガスにより配管内を徐々に加圧して抜き、回収タンクを経由して回収缶に追い出す。何回も実施する。チッソガスを回収缶に出さないためにちょっとコツが必要である。
接続

a.直径違いの冷媒管を直接溶接し、PE管にて洗浄機出口管と、外機配管と接続する
バースト圧力は、3.5Mpa(35〜40kgf/平方センチメートル)である。
PEの厚さは分子量より±はかなありある。(*某一流メーカーのPE管が最良であった)*直接お問合せください

b.径違い溶接は、レデューサーソケット(RS)が一番良い。圧力損失、ゴミ等の抵抗がない。

c.内機のU字管接続には、液抜きと兼用ガス抜き弁が必要です。特に離れた回路の場合、枝管はなるべく短くすること。弁はテフロンパッキン仕様のものは良いが、クロロプレンゴム製のものは、溶剤に浸され何回かの後にダメになります。

d.PE(ポリエチレン)管は何回も使用可能であるが、紫外線に弱いので縦キズ、横キズがあるものは取り換える、約半年に1回程度。(テフロン管は、高価なため、特殊時以外は使用しません)

配管内に少々の鉱物油が残っていても良いとカタログ等で言うが、
現場で定性・定量分析ができるはずがない
鉱物油のメーカー種類を判定してから実施してくださいとカタログ等で言うが
現場でオイルメーカーの種類が判るはずがない。作業者は全然気にしない。どんどん前へ進みます。

その他

  • 冬期の寒い時には、溶剤の蒸発に手間取るために溶剤を加熱循環させると共に冷媒管を加熱チッソガスによりベイキング(Bayking)して蒸気に変化させて真空引きをします。
  • 活性炭を利用し溶剤蒸気を吸着除去する。活性炭は賦活再生することができます。ガス放出を防ぐ大切な部分です。
  • 各装置には、温度計、温度調節器、安全弁、逆止弁、圧力遮断機、圧力計、漏電プレーカーが付いています。
  • 現場持込は配管を外して接続します。面袋ナット式ですので、簡単に行えます。
  • 配管洗浄も自由自在に変化させることもできます。
  • オールステンレス製のため、錆びません。シートを被せて外置きできます。
  • すべての機器は、分割搬入できます。
  • 弁類は、ボールバルブを用いています。

コイル

コンデンサーは、下記の三種類が装填されています。

溶液コンデンサーコイル
溶液液化凝縮用
冷水チラーコイル
水槽の冷水製造用です。別置の冷凍機と組み合わせて使用します。現場でも、発進基地でも使えます。古いルームエアコンの室外機は自分で作らなければなりません。作り方はお教えします。すぐ作れます。
冷媒再生用蒸発コイル
回収された冷媒を温水ヒーターで加熱させる冷媒用蒸発器です。(35℃〜40℃)で実施します。(0.6〜1.5馬力対応でオイルセパレーター、ドライヤー、サイトグラスが付いています。)主に発進基地で用います。

 

冷媒内物質の機能変化・化学変化推論

冷媒
各冷媒共安定物質で短時間、不測要素、妨害物資の存在では、変化しにくい。超緩慢な変化である(大気中の寿命の項参照)
オイル
種々の補助物質を混入されているが、ナフテン系物質は、天然物質の性状に依存しているため、温度、圧力、水分、空気等により変化しやすい。
酸化銅
溶接時の施工技術に大きく依存し、必ず存在する。
水素
オイル・ガスの分解生成物です。
酸素
オイル・ガスの分解生成物です。
水素・酸素の反応生成物です。
空気・ゴミ
施工技術に依存する。
各種酸
オイル・ガスの分解生成物です。

考察…各メーカーは「洗浄レス」と称し、あたかも洗浄不要と扇動している。上記の反応がゆっくり(年単位の時間を要する)のため、当面はしのげるはずである。付帯事項をカタログ巻末等に記載しているが、販売店、施工店は読まないのが現状である。

冷媒配管工事の伴ったほとんどの溶液、オイルは黒変しています。圧縮時の高熱により酸化されたもの(自動車オイルと同じ)

新冷媒でガスパージをしていると、地球温暖化がその倍数で進行することとなる。炭酸ガスの比ではない恐ろしいこととなる。

R-404A R-410A R-407C R-141b R-225cb R-22
4,800倍
3,400倍
3,400倍
1,800倍
1,700倍
4,300倍
(共洗い溶剤)

 

結論

これらの不純物により、冷媒管を再利用するためには絶対に洗浄が必要です。

空調機は20年は使用したい

今までの不具合の分析より故障物は大多数が不純物及び施工ミスが原因です。

冷凍、空調工事店にとってメーカさんの言動、記事は神様のお告げに等しい重みがあります。

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