冷媒管洗浄を考える
R22による冷媒管共洗いの疑問について(R22とSUNISO4GSの共洗浄)
- 両者の相溶性が大変良い場合、アキュームレーター経由でコンプレッサーに吸入されて圧縮吐出するガスにオイルが溶解し、オイルパンにオイルが無くなる。液戻りしたときに顕著である
- またポンプダウン時にV1を閉じた時にコンデンサーにオイルが冷媒共々蓄積することになる。圧縮機が始動したときにオイルパンにはオイルが無くなり、圧縮機が焼け付く
- RAのマルチで暖房時に内機に冷媒を流すのは何故か?
- また、洗浄レスでP-h線図でガス欠時には、極端に低圧が下が下がり高熱圧縮となる、200℃前後で極めて危険である(オイルの引火点の項参照)
もし冷媒充填量が20kgでオイルが5kgなら5/(20+5)=0.2
20%以上相溶性があればオイルパンは空になる
オイルが0%のバージン冷媒を5回以上流してやっと0%になるはずであるが、混合するために0にはならない、R-22の沸点が低くてフラッシュガス、液が混合するためである。また取扱いが困難である。
R-22、R410A、R-407C、SUNISO4GS、合成オイルPVE、POEの相溶性
廉価で容易に入手可能な代表的溶剤とR-22、新冷媒、SUNISO、合成油との関連を記す
於洗浄時 |
R-22とSUNISO |
R-22と合成油 |
SUNISOと合成油 |
新冷媒と合成油 |
新冷媒とSUNISO |
相溶性 |
△ |
××× |
△〜×× |
○ |
× |
耐高温性 |
△ |
- |
× |
○ |
× |
簡便性 |
○ |
× |
× |
○ |
× |
信頼性 |
○ |
× |
× |
○ |
× |
費用 |
○ |
× |
× |
○ |
× |
時間性 |
- |
× |
━ |
○ |
× |
回収性 |
△ |
- |
××× |
○ |
× |
洗浄性 |
△〜× |
× |
××× |
○ |
× |
灯油とAB○○ メチクロとSUNISO○○○ 最相溶性最良の極圧効果
(低温冷凍機は灯油で洗う)
検討される項目
吸湿性、加水分解性、高低温安定性、材料安定性、常温安定性、真空乾燥性
各社のマニュアルをよく読むと、リニューアル、配管再利用は、横引、分岐、ヘッダー、タルミは不可です。結局洗浄することになります(現場では洗浄レスでどんどん進みます)
冷媒管の厚さの上で問題が一つ生じます。冷媒の疑縮圧力を3.3MPa以下にしなければなりません。室外機ファンの風量をUPするインバーター化又は押し込みファンを付加する。
リキッドインジェクションで吐出圧力を下げる。
各社共完全に対策しました。
コンタミ除去フィルターは詰まったらどうします。基本的には液/液分離は困難です
各空調機メーカーさんは資料、カタログ等で
品質管理の内冷媒管洗浄をコストのかかるややこしいものとして逃避の論理を展開しているオイルの信頼性に頼っている感がある。もし10年以内に冷凍サイクルに起因する故障を生じた場合には、PL法の基ではややこしい問題となる
又メーカーにより故障が多発した場合では、リコールだけでは済まない問題が生じてくる。10年過ぎても信用の低下を生ずる
洗浄工程は厄介者ではありません、最高品質保持にはどうしても必要です
新冷媒への旧冷媒管再利用は洗浄に優るものは有りません
2007年10月1日より修理時にも冷媒回収の報告義務が法規定されました
項目/油の種類 |
POE |
PAG |
カーボネイト |
エーテル |
鉱油 |
アルキルベンゼン |
相溶性 |
CFCs |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
HCFCs |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
HFCs |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
× |
アンモニア |
━ |
○ |
━ |
○ |
× |
× |
化学安定性 |
CFCs |
○ |
△ |
○ |
○ |
○ |
○ |
HCFCs |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
HFCs |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
アンモニア |
× |
○ |
× |
○ |
○ |
○ |
加水分解安定性 |
|
△ |
○ |
△ |
○ |
○ |
○ |
熱安定性 |
|
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
酸化安定性 |
|
○ |
△ |
○ |
△ |
○ |
○ |
潤滑性 |
|
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
電気絶縁性 |
|
○ |
△ |
○ |
○ |
○ |
○ |
抗吸湿性 |
|
△ |
△ |
△ |
△ |
○ |
○ |
○=良い △=劣る ×=悪い ━=不明 |
冷凍機油の添加剤
酸化防止剤、酸水分捕捉剤、消泡剤、極圧剤(磨耗防止剤)、金属不活性剤
油毎に添加されている
なぜ新しい冷凍機油が必要か
従来油はHFCと溶けない→油が圧縮機に戻らない
HFCは塩素を含まない→塩素による極圧効果(潤滑効果)を期待できない |
↓ |
潤滑不良 |
↓ |
圧縮機の信頼性低下、製品の信頼性低下 |
↓ |
HFCと相溶し、鉱物油に比べ格段に潤滑性の優れた冷凍機油が必要 |
ポンプダウンでゴミ・オイルは除去できない
現在旧冷媒管の再使用についての見解は
- ポンプダウン時にスニソ等の鉱物油は冷媒と同時に回収されるが、10%以上は残る
- ガス漏れ、圧縮機焼損、配管詰まりの無いものが条件になっている
- 新冷媒用のオイルの品質が向上したため少々のコンタミ(旧オイル)は問題にならない
- 管内の冷媒流速で物理的にコンタミを除去する、途中でトラップを作り閉じ込める等、すべてコンタミ除去は程々でも合成オイルの優秀さに頼っている
- 各社共、冷媒管再利用機を発売しているが、故障時には保証しないとしている
- 圧縮機モーターの絶縁性が非常に良い
R-22とSUNISOの相溶性の相関を紹介
出展:冷凍空調便覧 基礎編 新版、第4版
日本冷凍協会(現(社)日本冷凍空調学会 http://jsrae.or.jp)より
図17-29
フロンガスとナフテン系冷凍機
油温度ー濃度曲線 |
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図17-30
JIS特2号冷凍機油に対するR22の溶解度 |
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表17-22 潤滑油と冷媒の混合
区分 |
よく混合するもの |
中間的なもの |
混合しにくいもの |
冷媒の種類 |
R-11 |
R-22 |
R-13 |
R-12 |
R-114 |
R-14 |
R13B1 |
R-502 |
R-22(低温の液) |
R-21 |
|
R-11(低温の液) |
R-113 |
|
R-115 |
R-200 |
|
R-C318 |
メチルクロライド |
|
アンモニア |
塩化水素系ガス |
|
炭酸ガス |
R-22とSUNISOとの相溶性の関係がよくわかる(温度と潤滑油濃度に注意) |
出光興産(3)空調用冷凍機油 表2より
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PAG |
PVE |
POE |
アルキルベンゼン |
構造 |
|
|
|
|
HFCs冷媒との相溶性 |
○ |
○ |
○ |
× |
熱安定性 |
耐加水分解性 |
○ |
○ |
× |
○ |
、化学安定性 |
○ |
○ |
○ |
○ |
酸化安定性 |
○ |
○ |
○ |
○ |
潤滑性 |
○ |
○〜△ |
○〜× |
○ |
電気絶縁性 |
× |
○ |
○ |
○ |
PVE、POEの耐加水分解性、潤滑性がよくわかる |
図1 FVC32DとHFC冷媒との臨界溶解度曲線
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図2 FVCとHFC冷媒との臨界溶解度曲線
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図3 FVC68DとHFC冷媒との臨界溶解度曲線
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出光ダフニーハーメチックFVDシリーズ、FVSシリーズ
出光 スニソGSシリーズ
メチクロ洗浄時の極圧効果